2018年5月11日、CGWORLD(+ONE Knowledge)さん主催の「ストーリーボードのプロセスから学ぶ・画作りの秘訣」ストーリーボードセミナーに行ってきました。
- 画作りを学ぶと何がいいことあるの?
- そもそもストーリーボードってなに?
- ストーリーボードアーティストってなんだろう?
といった事を、疑問をお持ちの方は、こちらのレポートを読んで頂けたら幸いです(n*´ω`*n)
アニメーション、ストーリーボードに興味はないんだけど…という方にも
アニメーションに興味がなかったとしても、絵を描くという行為を少しでも(それこそチラシの裏であっても)楽しんでいる方にはとても刺激的な内容且つ、自分自身の才能に気づける新しいチャンスになるのではないかと感じた内容でした。
- 何故、ストーリーボードという工程があるのかの必要性と、それによって広がる可能性
- 構図をただの「ルール」としない、クリエイティブな手法であることの再認識
- なぜあの映画、あのアニメーションが素晴らしいかというコトが誰もがわかる根拠
本日はそんなストーリーボードアーティスト栗田唯先生のセミナーレポートになります。
セミナーを受けたいと思ったきっかけ
唯せんせいのクラスを受講させていただいたり、ドローイング会などでお話をさせて頂く中で
- ストーリーボードと絵コンテってどう違うのか分からない
- 先生がよくいっている「絵を描く人はみんなストーリーボードやったらいいのに」の真意が知りたい
- ビジュアルで魅せる、見せるってつまりどういうこと?
- ストーリーボードアーティストってなんかかっこよさそうだけど具体的にどんなことしてるのか興味津々
といった疑問と好奇心を胸に参加させていただきました^q^
講師の栗田唯(くりたゆい)先生ってどんな先生?
講師プロフィール
講師: 栗田 唯 (ストーリーボード アーティスト)
高知県出身。2012年にサンフランシスコの美術大学AAUの大学院に入学。
Blizzard Entertainmentにてストーリーボードアーティストとしてキャリアをスタートし「Overwatch」や「Hearthstone」などの短編作品に携わる。その他Marvel Studiosのテレビシリーズに参加し、現在もなお海外に向けてフリーランス中。
写真では怖いイメージがありますが、土佐弁と関西弁のあいのこのような語り口で、飽きさせないトークが絶妙な先生です。
セミナーざっくり内容
セミナーの内容をざっくり説明するとこんなかんじでした。
- ストーリーボードってなに?「ストーリーボードの工程と流れ」
- 映画考察
- 栗田先生のストーリーボード過去作品紹介&解説
- ストーリーボードアーティストになるために
1:ストーリーボードの工程と流れ
ストーリーボードってそもそも何?という話から分からない人も大丈夫!
日本には「ストーリーボード」という概念自体がまだ普及しているものではないということもあって
- 何のためにある工程なの?
- どんなふうに仕事が回ってくるの?
- 具体的にどんなことをするの?
- 日本のアニメーションにおける「絵コンテ」とどう違うのか
- ストーリーボードを描くうえで大切なこととは何か
- ピクサーがなぜあれだけ素晴らしい作品を生み出すことが出来るのか
- それにたいしてのストーリーボードの重要性
- ストーリーボードアーティストが視聴者を常に意識して行う「大切な要素」とは
- 監督に対しておこなうストーリーボードアーティストの「プレゼン」
- 良いストーリーテリングを画面で行うために
- プロジェクト成功をカギを担う理由(なぜストーリーボードという工程が重要であるのか)
- プロジェクトの予算とストーリーボードアーティストの関係性
といった「ストーリーボード」という言葉を知らない方でも理解できるよう、映画やアニメーションのプロジェクトにおける立ち位置やその必要性、重要性について、丁寧に教えて頂けました。
2:映画考察
映画考察では、様々な作品を、ストーリーボード的視点から読み解き、どのようにその映画が作りこまれているのか、またなぜそのようなシーンやシチュエーションが描かれているのかということを
- スクリーンディレクション
- ビジュアルストーリーテリング
- シルエット
- カラー
4つの点から、細かく丁寧に(時に笑いもありつつ)説明していただけました。
スクリーンディレクションでは、キャラクターがなぜその方向へ移動するのか、視線を向けるのか、
ビジュアルストーリーテリングでは、セリフや音楽がなくとも「なぜその感情や言葉が伝わるのか」
シルエットでは、「見せないことで”見せる””魅せる”」「4つのトーンで描かれる”飽きさせない画面構成”」について
カラーでは、ストーリーが言わんとしていることを「色」を利用してキャラクターとストーリー、その情景との複雑な関連性を一目瞭然にする方法、また隠された暗喩からくる視聴者に対して無意識への働きかけ
それぞれの角度から、徹底解説をしていただくことで、前章「ストーリーボードの工程と流れ」で解説していただいた内容が、この映画考察でさらに理解を深めることが出来ました。
栗田先生のストーリーボード過去作品紹介&解説
ピクサーの巨匠からじかに学んだことについてを、過去の作品をもとに解説をしていただけました。
- なぜその学びが必要なのか
- どのようにアイディアを昇華していくのか
- 決まりがない自由よりも、決められた中で描くことがクリエイティブな力を発揮させやすい理由
などなど、実際の事例・経験、様々なリアルな現場の話とともにお聞かせいただくことが出来ました。
ストーリーボードアーティストになるために
ここまで、ストーリーボードとは、という大きな根幹をもとに解説していただいたものを踏まえて、
何をどう勉強していくことで、ストーリーボードアーティストになることが出来るのか
という具体的かつ実践的な内容を6項目にわたってお伝えくださいました。
よく普段動画やツイッターの中で「絵をうまく描けなくてもいい」とおっしゃっている理由が、ここまでの解説やこの章においての方法論の一部である唯先生ご自身の体験も踏まえて語って頂くことで、納得が出来た気がします。
セミナーを受けた感想
良かったところ
「絵をうまく描けなくてもいい」という言葉の意味をようやく理解できた。
よくジェスチャードローイングのクラスでストーリーボードアーティストに求められている資質は「クリーンよりクリア」「伝えられたら上手くなくてもOK!」「上手く描こうとしない、アイディア!」だということを聞くたびに
唯せんせめちゃ上手いので「何をいってるんだ」とおもっていたのですが、
セミナー内での数々の説明に、
- なるほどそういうことか!
- それは上手く描こうとするよりも確かに!おっしゃる通り!
- そりゃ上手く描こうとしてたら●●だわ…はー!なるほど!確かに!
といった感じでした。
伏せるところ多すぎて、何が何だかだとは思うのですが、ピクサーのアニメーションがなぜあれだけ素晴らしい作品を世に送り届けることが出来るのか、という部分との密接な関係としても、とてつもなく腑に落ちました。
映画の楽しみながら、学ぶこともできそう!
映画をみて、今までなんとなく「おもしろーい」「たのしーい」と漠然として見ていたそれらが、「なぜ面白く感じるのか」「なぜそれが感情に届くのか」といった根拠を至極明快に説明をしていただいたことで、さらに面白く見ることが出来そうだなと思いました。
ストーリーボード的視点から…として考えると、最低でも5回は楽しめる!
見る視点が変わることで、自然と学べるところが増えてしまいそうです。
世に送り出されている作品が、どれだけ計算しつくされているものなのかを改めて実感!
初期の構想の段階から計算しつくされ、考え抜かれたストーリーボードがあるからこそ、終始一貫して作りこむことが出来、
結果的に「予算を削減しつつ良いものを生み出すことが出来る」ことの「単純明快な理由」に納得しました。
急がば回れって、こういうことを言うのだなあと…!すごい!
システム化しつつも、各アーティストが各担当のアーティストとして、クリエイティブに才能を発揮することが出来るって本当に素敵ですね…!
日本ではまだ普及されていない概念構造らしいのですが、これが定着したらめっちゃ楽しいことが起こりそうな感じがしました!
ストーリーボードアーティストって超クリエイティブでかっこいいアーティスト!
ストーリーボードアーティストっていまいち理解できていなかったのですが(唯先生からはいろいろお話を個人的に聞くタイミングも沢山あったのに…うっ)
すごい!超クリエイティブなお仕事でめっちゃかっこいいアーティストなんだなと!改めて知ることが出来ました…!
絵が上手くなくても!アーティストになることが出来るというこの希望の光、やばかったです。
以前耳にした、「クリエイターはメイクするんじゃない、クリエイト!」という言葉の真意を目の当たりにしたような感覚になりました。
セミナーの内容、質量、熱量、どれもがすごかった!ほんとに1万円・・!?
息をもつかせぬ怒涛の勢いで語らえるストーリーボードについて内容は、質量・熱量、ともに素晴らしくて、これで本当に1万円なの!?えっっ!?これビジネス系のセミナーだったら余裕で3万超える内容と質量なんれすけろ…という気持ちが抑えきれませんでした。
内容の濃さがはんぱなかったです。
セミナー概要としてだけでも素晴らしく作りこまれた構成の上に、それぞれの小さな項目への唯先生の実体験・経験を伴うというリアリティ!
唯先生ご自身の情熱が、これでもかとロジカルにもエモーショナルにも「理解し感じ伝わる」この体感覚に落とされる内容、やばかった!です!
マーザ・アニメーションプラネットの映画編集・企画、ストーリーボードアーティストの方が来られていた!
しかも、こちらのセミナーの何が素晴らしいかというと、ただセミナーが開かれるだけでなく、今後ストーリーボードアーティストを目指される方への門戸が「マーザ・アニメーションプラネット」さんが開いて待っているというコト!
会場には今後ストーリーボードアーティストを育成、発掘していこうと情熱に満ちた映像編集・企画の高橋さん、ストーリーボードアーティストの木下さんが来られており
実際に目指そうとされている参加者の方とのお話などもされておりました。
凄くないですか!?(思い出して興奮し始める)
困ったところ
内容量があまりにもすごすぎて、メモの手が追い付かなかった…
ただし…内容量があまりにもすごすぎて、メモの手が追い付かなかった…!うっ!一字一句逃さぬ勢いで身体に落とし込みたいし、後からも精度変わらずとどめておきたい…!
なので、次回以降、もし可能であればパワーポイント資料の紙の資料を頂けると、それをもとにメモ書き込みが出来ていいなあ…なんて欲を持ってしまったのでした。
さいごに
かなり質量の濃いセミナーだったので、とんでもなく縮小した簡易レポでありましたが、
レポートを読んで少しでもご興味があればぜひ次回開催時足を運んでみてください(n*´ω`*n)
生の唯せんせいから直接この内容に触れて頂きたいです!
絵をつかって”伝える”というコトに少しでも興味をお持ちなら、行かないと勿体ないかも!そんなセミナーでした。
は~~~~~脳みそ沸騰する感じでサイコーに楽しかった!です!