「静止して見える、硬い人体イラスト」からの脱却を目指して!
私がリズムとフォースを手に取ったタイミングは
「人を描くのって楽しいね」をひたすら模写して、ある程度人として認識してもらえるくらいには描けるようになった頃のことでした。
人体を何とかそれらしく描けるようになってきたことで、絵を描くことに対して少しだけ欲を持てるようになり
躍動感や動きだしそうなその瞬間というものを描けるようにならないかな?
という思うようになった時に、偶然出逢った書籍です。
人体の「躍動感」はどのように表現したらいいのだろうか…と悩まれている方や、ディズニーアニメーションのような、ワンストロークの力強さ、生命力を手に入れたい方に、オススメしたい書籍です。
こんな方にオススメ
- ある程度全身は描けるようになってきたので、肉感のある人物を描けるようになりたい
- もっと躍動感のある絵を描けるようになりたい
- 感じたものをドローイングで表現できるようになりたい
こんな方にはオススメだとおもいます。
人体をまだ全身描くのが苦手!という方は↓下記記事を参考にされてみるとよいかもしれませんm(__)m
リズムとフォースについては、ディズニーのようなカートゥーンに近い描写を目指している方、魅力を感じる方に、とても刺激になりそうな印象です。
もしくは、そういった要素を自分の絵の中に取り込んで吸収されたい方にぜひ^v^
「リズムとフォース 躍動感あるドローイングの描き方」ってこんな本です。
オススメPOINT
- 画面のリズムはどこに流れていて
- どこがねじれによるエネルギーが流れているのかがわかって
- 躍動感ある動きを描くためにはどうしたらいいか
ということを、ダイナミックなドローイングとともに感覚的に把握し、手でそのリズム感をつかむことができるようになる書籍です。
ストロークを描くための大前提
美しいラインを引くためにドローイングをするのではありません
本書に掲載されているドローイングのあの美しいストロークはどのようにできているのか、何が根本となっているのかというな心構えなども、たっぷりと収録されています。
ラインは重要ですが、ドローイングの目的はラインではありません。ラインとはアイデアです。ライン1本が、描き手のアイデアです。美しいラインを引くためにドローイングするのではありません。書き手の経験を表現する手段が、ドローイングです。
引用 2P:方向性のアルフォース:始まり、中間、終わり
美しいラインを引くためにドローイングをするのではない。
あの美しいライン、ストロークは、「美しいラインをひこう」として出来るわけではなく、描き手の感じたもの、アイディアをそこにどう表現するか、を表したものが結果「美しいストローク」になっているという、忘れがちな絵を描く大前提を思い出させてくれる一文ですね。
説明文章一つ一つから「ああ、ここが自分が意識していなかった、理解できていなかったところかもしれない!」と、読み返すたびに気付きをもらえます。
最初から上手くやろうとしなくてもいい
これが方向性のあるフォースです。と明言しつつも、「最初から上手くいくはずもありません」と注意を促してくださるので
「最初から上手くやろうとしなくてもいいんだ!」とほっと一息つける、安心できる文章もしっかりと描きとめてくださっています。
重要なコンセプト:恐怖
最大の恐怖とは失敗に対する恐怖
上記に挙げたような様々な勇気づけられる説明の中でも特に、
書籍をひらいて序盤に得たこちらの言葉が、私の中にじんわり残ってくれています。
恐怖とドローイングが関係あるのかと思うでしょうが、大いに関係があります。
恐怖は情熱を封じ込めてしまいます。
恐怖は生徒が持ち合わせる性質の中でも、最も有害です。
最大の恐怖とは失敗に対する恐怖で、つまりは「下手な」ドローイングを描くことです。
忘れないでください。
モデルの人間性をとらえるために描くのだと分かれば、どんなドローイングかは気にならないものです。
現在にお体験を意識し、モデルとの時間にひたすらな姿勢で向き合いましょう。
失敗など存在しません。
あるのは結果のみです。
勇気を出して、新しい高みへ上りましょう。
あるいはこう考えましょう。
「間違った」決断をしたとして、何が起こるでしょうか?そこからの学びがあります。
結果が多いほど、目標に早く到達できます。
私たちはスカイダイビングをしているわけではありません。
どんなに大きなリスクを背負った決断でも、生命の危険はないのです。
究極のスタントマンになったつもりで、挑戦しましょう。
自分の心の中の会話に耳を傾けると、恐怖が明らかになります。
引用 重要なコンセプト より
アーティストとしての心構えを、大先輩から教えてもらいながら、その心構え・マインドセットをもとにどのように取り組んでいったらいいかということを
不安や迷いで萎縮してしまっている私たち野気持ちを照らしてくれるそんな書籍でした。
まとめ
全く描けないうちからこの書籍を手に取っていたら、そこまで感動はしていなかったと思います。
そのタイミングでは「心構えってなんだよ」と読み飛ばし、何を自由としてとらえ、何を感じたものとして描いたらよいのかというコトもわからず本を閉じてしまっていたかもしれません。
ある程度人体を人体らしく描けるようになってきたタイミングで、この書籍を手に取れたということが、自分にとっての底上げポイントであったり、「のびのびと描ける!」という自由を手に入れたような感覚になったのではないかなーと思っています。
そこまでに至る、自分の中で芽生えた不安であったり、本当にこれで逢っているんだろうか?という疑問であったり。
そういったものを実例や生徒の方々の作品、またそれに対しての考えと経験からくるストーリーを通して、暖かく背中をトントンしてくれるようでした。
- ある程度人を描くことに慣れてきたけれど、これでいいのかな?
- 練習をして書けば書くほどしなやかさ、柔軟さが欠如していくような気がする
- 何かが足りない…
と感じ始めたタイミングで手に取ると、きっとその部分を補う練習の友になってくれることと思います。
「絵の中の硬さ」と「心のうちにある不安」を払拭したい方へ是非。
本日ご紹介した書籍
追記:流れるラインを描く前に「人体構造を把握したい!」という方へ
上記イラストは、人を描くのって楽しいね衣服編で衣服のしわの構造を学びながら、リズムとフォースの書籍内容を意識して描いたものです。
ただ、それと同時に「人体の構造」を「単純な図形」で把握できる方法も勉強していました。
今回ご紹介したリズムとフォースでは「人体のアナトミー(解剖学)」について、ある程度把握できているということが土台に必要であるように感じています。
そのため、
- 人体構造・筋肉の構造をまず把握したい!
- 人体構造を単純な図形に置き換えた状態で把握したい!
- 緊張した場合、緩んだ場合どのように筋肉が連動しているか把握したい!
というかたは、是非リズムとフォースを手に取る前に、下記書籍レビューもご覧になってみてください。
マイケルハンプトン先生の「人体の描き方」書籍から
- 人体の構造をどのようにとらえるか
- どのように躍動感を表現したらよいか
を学ぶことで
単に筋肉や骨格の形状を学ぶだけでなく、実際にキャラクターや人物を動かした際におこる「しなやかな筋肉」を表現する方法を学ぶことが出来ます。
それにより「人体の躍動感」も一緒にレベルアップしてくれるようになるとおもいますし、よりいっそう、マイケルハンプトン先生がおっしゃっている言葉の深さ、重さを理解できるように感じています。
また、私が上記のようなスーツの絵を描けるようになった書籍・底上げをしてくれた書籍をまとめたレビューもありますので、よろしければそちらも合わせてお読みいただけると嬉しいです。